古い無線ルータはセキュリティー暗号方式のご確認を!

2015年06月13日

ただ乗り「氷山の一角」

無線LAN犯罪に使用も

広く一般家庭で使われるようになった無線LAN(構内情報通信網)は、以前からセキュリティー面のリスクが指摘されてきた。警視庁が不正接続の男を逮捕したが、捜査幹部は「摘発したのは氷山の一角」と指摘する。

自分の回線が犯罪に使われたり、情報を盗み見られたりする危険もある。関係者は安全性が高いタイプヘの変更を呼びかけている。

総務省などによると、無線でネットに接続する無線LANは「Wi-Fi」(ワイファイ)とも呼ばれ、1990年代後半から一般家庭に普及した。持ち運びが容易なノートパソコンやタブレット型瑞木が広がったこともあり、2013年末時点で約54%の世帯が利用している。

通常、無線LANでネットに接続する際には暗号パスワードが必要。しかし00年代前半以降、このパスワードが外部から解読される危険性が指摘されるようになった。

解読されるのは「WEP」と呼ばれる暗号方式。インターネットなどでは不正接続を目的にした専用の機器も販売されており、10年には大阪府警がデジタル機器販売店店長らを電波法違反ほう助の疑いで逮捕。

犯罪などに悪用されるケースもあり、静岡県警は13年、不正接続で殺害予告の書き込みをした少年を威力業務妨害容疑で逮捕した。

警視庁サイバー犯罪対策謀によると、今回電波法違反容疑で逮捕された男は、WEP方式の暗号を数分で解読できるソフトを使っていた。ソフトはネット上で無料で配布されているという。同庁幹部は「専門知識が無い人でも簡単に不正接続できてしまう」と話す。

無線LANの暗号はその後、セキュリティーを強化した「WPA2」と呼ばれる方式が開発された。機器メーカLなどで作る無線LANビジネス推進連絡会(東京)によると、この2~3年に出荷された機器は初期設定でWPA2が採用されているという。

ただ情報処理推進機構 (IPA)が14年度に実施した調査では、WPA2を使う人の割合は13・2%にとどまる。総務省情報セキュリティ対策室の担当者は「いまだにWEP方式の機器を使っている人は多いはず」と指摘する。

IPAの担当者は「不正接続だけでなく、ネット通信の内容を盗み見されたり、勝手にパスワードを変えたりされる危険もある」と指摘する。

家庭にあるルーターなどの機器の表示や管理画面で方式を確認し、古い場合は買い替えるなどを検討するよう呼びかけている。

日本経済新聞 2015年6月12日